2013年11月6日水曜日

チルドゆうパックが常温放置で配達されている実態と調査について

ヤマト運輸のクール宅急便に続きチルドゆうパックまでもが常温で仕分け、配達されていることが全国の郵便局の複数の関係者の話で明らかになった。「荷物が冷えてなかった」などの苦情が寄せられており、ついに日本郵便はこの不祥事の実態調査を始めた。

私もゆうパックに携わる人間として黙っているわけにもいかず、この実態を徹底解剖していきたいと思います。上手く業務改善し郵便局の信頼回復の参考になれれば幸いです。

配達局はどうやってチルドゆうパックを仕分けてるのか?


普通の配達局なら大抵の場合配達数より引き受け数の方が少なく、大口の引き受けがない限り持ち込みや集荷した後すぐに引き受け入力し差立区分できるので、時間が掛からず特に問題は起こりません。

問題の常温で仕分けされている主な要因はチルドゆうパックの到着から仕分け、配達に至るまでの過程と不十分な設備にあります。
到着するのは保冷車ではなく普通のトラックで、通常ゆうパックやその他の郵便物が入ったパレットと一緒に保冷用チルドコンテナ(略してチルコン、簡単に移動できる冷蔵庫)で運送されてきます。

トラックからそれらを降ろして作業現場まで運んだ後に仕分けを行うわけですが、配達局には冷蔵室といった専用の大掛かりな設備がなく、常温の室内でチルコンの扉を開けてからチルドゆうパックのバーコードを携帯端末で到着入力し各地域ごとに保冷設備(冷蔵庫)へ速やかに保管します。が、荷物が入り切らない場合はチルコンを代用し本来の場所に張り紙などでその旨を知らせますが、それでも無理ならバッグの中に保冷剤やドライアイスを詰め込み、効果が切れてもなお常温保管で放置し続けそのまま交付し配達した局もあるらしいです。

平常時はトラック1便につき到着するチルドコンテナは大抵2台以下で中の容積も少なく、小さい荷物が多くない限り仕分け自体はすぐに終わります。しかし、作業場のスペースがとても狭く、平常時に限らず物量が多い時や繁忙期も平常時と同様にチルドの仕分けを通常ゆうパックと同時に行うので、荷物入りや空きのパレットやチルコンがまるで迷路のように散乱し、スペースが確保できず窮屈な状態で作業せねばならず効率が落ち外気にさらされる時間が長くなります。

さらに温度管理どころか人員不足でパレットを折りたたんで整理する余裕すらありません。このような酷い環境で誰かに呼び出され、用事が済んでこの場に戻ってきた時に他人が区分してくれたのと勘違いし気付かず忘れ去られそのまま常温放置されるケースもあったそうです。

特に夏場のお中元の時期は最悪で、経費削減のため冷房の温度設定が高くて冷房がろくに効いておらず、室内はほとんど外と同じような気温で劣悪な環境の中で作業しています。
そのため、外気との温度差が激しく、チルコンの扉を開けてすぐに辺りは水蒸気が白く立ちこめチルドゆうパックは水滴まみれになり段ボールとラベルはふやけ、到着入力する時にバーコードは読まず、ラベルに書かれている文字のインクが滲み住所が識別し辛くなり、現場も窮屈な状態で仕分けに時間が掛かっていました。

仕分けの段階で常温放置であるか否かに関わらず、最終的にはちゃんと冷えた状態で交付するので、外見や中身に異変がない限り冷えたままで配達されればお客様側からばれることはありません。

問題となった「荷物が冷えてなかった」原因は我々内務の過失もありますが、それは全体のごくわずかです。原因のほとんどは配達する側にあるのです。

常温配達の主な原因は配送委託業者の質の低さ


ゆうパックの配達を行うのは多くの場合それぞれの郵便局と契約している配送委託業者で、社員やバイトも配達を行うが、その割合は小さい。なぜなら、バイトより安く雇えることができトータル的に人件費が掛からないから。

チルドゆうパック常温放置配達の主な原因の一つに委託業者の質の低さが挙げられる。

委託業者の給料は歩合制で、荷物1個につきいくらの単価で配達し、処分や減給といった人事評価がない(契約打ち切りはある)。したがって時間内になるべく効率よくより多くの荷物を配達さえすればよく、そのため、事故防止に対する意識を徹底させるのは難しい。保冷用バッグに入れず車内に放置するなど、温度管理はずさんで作業工程はいい加減になりがちになる。

荷物に貼られているシールやラベルの配達希望日や時間帯をよく確認せず区分棚の表示内容の通りに持ち出しそのままお客様に手渡すので、時間帯不遵守や対面誤配は繰り返され続け、まったく減る様子もない。誤区分する内務も悪いが、こればかりは内務側で食い止めるしかありません。

郵便局は配達専用の保冷車は導入しておらず、委託業者の使用する車両は普通の軽トラックや軽ワゴン車。しかも同時に普通のゆうパックとチルドを混載しお届けにあがるので、地域によっては手渡される頃には保冷剤やドライアイスの効果がなくなり常温に近い状態になることもある。幌つきの軽トラックならまだしも、軽ワゴン車の場合夏場でなくとも日中の車内は直射日光により高温になります。なので、チルドゆうパックは解凍調理済みのほっともっと!状態で宅配されます。

お客様が不在で持ち戻りの場合、3日間再配達やリクエストのため日付ごとに所定の棚や冷蔵庫に保管しますが、保冷用バッグに入れず車内に放置した挙句、荷物にチルドの青いシールが貼られておらずチルドということに気付かず内務に引き渡した委託業者もいました。それが原因で普通のゆうパックと一緒にそのまま常温保管していた事例もありました。

施設や備品など


大手運送会社や統括局とは違い、普通の配達局はゆうパックの区分や配達に関する設備が充実していない。シェア拡大のため日通と合併した時も何の対策もせず従来の限られたスペースで無理矢理作業して大幅な遅配が発生し問題になった。きっちりとした土台を作るには莫大なコストがかかるので、施設に増資するのはとても難しい。

今日は眠いのでこれまで。これ以降ははまた明日にでも追加、更新します。